子供がいないご夫婦の緊急時

末期がんのご主人と認知症の奥様についてのご相談

今回のお客様は、担当のケアマネージャーさんよりご相談がありました。
ご主人が末期ガン(看護処置が必要)、奥様が認知症でお子さんはおらず、近くに親戚もいない状態でした。

夫婦2人では生活が難しい状態に。

「ご主人の強い要望により介護サービスを駆使して在宅生活を送っていましたが、ベッドから起き上がれなくなり、もう施設入所をするしかないところ、拒否しています。どうしたら良いでしょう」という相談内容でした。

奥様の成年後見申立依頼とご主人の任意後見契約を進めている中…

 ご主人に対して3日間、ケアマネージャーさんやヘルパーさんのお手伝いを頂きながら一度ホスピスへの入所を勧めました。現状ではお手洗いやお風呂もままならないからです。
どうしても嫌だったら一度家に戻ろうということで、ご了承頂きご入所されました。
認知症はなく、意識はしっかりとしていたので急ぎ奥様の成年後見申立の依頼を司法書士事務所へご依頼頂きました。その間、ご主人の財産管理契約を取り急ぎ法人にて契約し、任意後見契約を進めようとしましたが、その3週間後に残念ながら他界されました。遺言がなかったので、奥様に対して全て相続させる内容の遺言を自筆証書遺言(手書の遺言)にてご作成頂きました。

 施設入所中は、一度医療器具が外れてしまったので、当法人付き添いにて入院もありました。施設入所後は、快適にお過ごし頂けたようで奥様の様子を気にはされながらも家に戻るとはおっしゃいませんでした。
また、お墓を自宅近くに購入されているとのことでしたので、急ぎお寺に訪問させて頂き、事情をお話ししたところ、ご住職様に大変なご理解を頂きご主人のご葬儀・ご納骨はスムーズに進みました。
奥様は、後見申立中にご主人が亡くなったので、他県にいらっしゃった奥様の親戚の方に申立引継をして頂き、無事に後見人が選任されました。施設では快適にお過ごしのようです。
また、ご自宅について近隣の町会長さんから道路に出ている植木についてどうにかして欲しいとの要望があり、後見人へ相談して解決して頂きました。奥様が了承しないので自宅の処分が進まないという事情のようでした。

ミナスマメンバーの声

自宅看取りについて

 本件は、ご主人を最後まで自宅で看取ることが出来なかったのか、という点が心に残りました。ただ、在宅緩和ケアを行うためには、家族の協力が必要となりますので、認知症の奥様には難しかったです。もちろん、任意後見契約などを駆使して行うことも可能だったと思いますが残念ながら事前の準備が足りませんでした。お会いした時点でご所有の財産が分からなかったので高額な費用がかかる在宅緩和ケアを選択できませんでしたし、もっと早くから在宅緩和ケアを行う医療機関との相談を進める必要がありました。何事も早めの相談が必要ですが、いざとなるとどこに相談すべきか分からないのが現状ではないかと思います。

成年後見申立について

 成年後見申立は主に4親等の親族が行いますが、実費以外の後見人報酬等は本人(本件は奥様)のお金から出すことが出来ません。今回も司法書士事務所に書類作成を依頼した費用はご主人より支払われており、後見申立を引き継いだご親戚は負担なく引き継ぐことができました。後見の申立のタイミングも重要です。

遺言について

 子供がなく、遺言がない場合の相続人は、配偶者と兄弟姉妹(死亡している場合甥姪が代襲)です。(※親などの上の世代の方がいらっしゃれば、その方と配偶者です)その場合戸籍等を集めることが煩雑なだけでなく、相続人全員の実印押印と印鑑証明書を貰わなければ手続ができません。対応してくれない相続人が1人でもいる場合は手続きは進められず裁判所で調停などを行う必要があります。また、相続分を主張される相続人には原則としてお支払いが必要です。そのため本件ではご主人が大変なところ申し訳なかったのですが、手書の遺言を施設にてご記入頂きました。

お墓について

 お墓につきましては、原則として承継する相続人(お寺によっては子供限定)がいなければ納骨できません。
本件は、ご夫婦で購入されていましたが、実際の状況になると納骨が出来るか分かりませんでした。お寺のご住職様にご主人からの依頼につきお話させて頂き、そのようなご事情でしたら、奥様がお亡くなりになるまではご主人をご納骨し、奥様がお亡くなりになった場合、集合墓地における永代供養ということでご了承頂き納骨することが出来ました。とかくお墓につきましても生前によく相談しておいた方が良いです。

ご自宅の問題について

 空き家状態のご自宅については、防犯、近隣、動物の観点等から望ましくなく、可能な限り解消されるべき状態だと思います。ただ、奥様の心情を考えると後見人もすぐには売却できなかったようです。ただし、本状況は、このように植木処分、町会費、固定資産税がかかり続けます。

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